万華鏡三次

novel.syosetu.org/114674/ の三次創作的リメイクです

2017-01-01から1年間の記事一覧

一章 慈愛の混沌

「美味しい......!知識としてならば知っていましたが、人の食は、甘味はここまで進化しましたか......!」 先ほどまで全てを射抜きそうだった沖田の瞳はキラキラと子供のように輝き未だ見ぬパフェの下層への想像を巡らせ、嗣音は嗣音でここが異界であること…

一章 数寄者屋の工房

基山零士は魔術師であった。いつか至るべき根源への到達、その入り口は限りなく狭い。しかし既に還暦を迎えようとする彼の所作は、「焦りが足りない」と言われても仕方がないものであった。研究を継ぐ子も無く、今日も一人で茶を点てている。少なくとも素人…

序章 形而上の飢餓

花一匁という言葉もあるが、3.75gの見えない何かを誰もが常に気に掛ける。その身の軽さに、男アラン・リンドバーグは辟易しきっていた。「何のために生き、死ぬのか」その問いに答えを出すことは自分には出来ない。生命の価値。自分が持っていて、且つ手放…

序章 人造の生命

生命とは。生物学的に、なんて野暮な考え方をしてしまえば、全ての生命は次世代へ種を繋ぐための機構だ。しかしヒトなどという物好きな生き物は、必ずしも生物的なゴールで満足をするとは限らない。理性、や生きる意味、などと大層な言葉を掲げては無意味な…

序章 出遭い

「もし、マスター。起きてください。」 鈴を転がすような声で幻聴が聞こえた。 「うるさい、私は一人暮らしだ幻聴め。」 大体、何故自身を二度傷つけるような幻聴をわざわざチョイスするのか。精神面でそこそこの打撃を受けたとはいえ、私の脳はそこまで自分…

序章 爆死

序章 『爆死』 「お゛あ゛あぁだめかああぁ」 構われすぎた猫のような奇声を上げて彼女は机にキスをかました。ここが公衆の面前ならばなんて破廉恥なと糾弾されたに違いない。しかしどうやら、目尻に溜めた涙とこみあげてくるのが感情でなく物理的な何か、例…